colorful -カラフル-


 さっきまで篠原が座っていた河原に俺も腰掛けた。エナメルを投げ、松葉杖も投げ、大の字になって寝そべった。目に映った視界は、夕焼けでいっぱいだった。綺麗だな、なんて考える。そんなこと、考えるなよ。

 「……ふ」

 何だか可笑しくなってきた。このままバスケが出来なくなったら、俺はどうすればいいんだ?今までやって来たことは何だったんだ?そもそも俺が今の名門私立高校に受かったのは、中学の時にバスケで推薦されたからであって、実力じゃない。成績だって断トツでビリだし。バスケが出来なくなったら、退学させられるんじゃないかってくらい。それに比べて篠原は努力家だ。バスケはそこそこ上手いし、勉強も頑張っている。俺は…何をしているんだ?

 「っ…」

 体を起こして、視線を前に向けた。河の水が反射で眩しく輝いていた。悲しくなってきて、必死に涙を止めようとした。バスケも友達も失ったら俺はどうすればいい?こんな足、切り落としたくなった。切り落としたって、治る訳じゃないのに。

 「馬鹿だな、俺。」

 頭を抱え込んで、目をつぶった。もう何も瞳に映したくない。何も考えたくない。考えたって、どうにもならないから。視界の端に映った夕日は、微かにぼやけていた。
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