誰でもない。君へ
『で、今日はどーしたの?』
おしぼりを手渡しながら亮介が言う。
『どーしたのって、久しぶりに女の子のバイト入ったって聞いたから!』
満面の笑みを浮かべたかっちゃんが言った。
『あ〜はいはい・・・かっちゃんの情報網は恐れ入るよ』
亮介を始め、周りが仕方なさそぅに笑う。
『でさ、どの子?どの子?』
かっちゃんは店内をキョロキョロと見回す。
それらしき女の子は見当たらない。
『あれ・・・今日休み?』
『今、中で仕事やってるから。とりあえずなんかたのんでよ?』