黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
『あんな幼稚なイジメ、相手にするのが馬鹿らしいでしょ。』
私が言うと、龍が真顔で
「好きな女が嫌なことされたら、ムカつくんだよ。たとえそれが幼稚なイジメでもな。」
と、私の目を見ながら言ってきた。
私はカァーッと顔が赤くなる。
だって、不意打ちじゃん。
あんな言葉。
赤くなった顔を隠すために俯いていると
「そや、鈴ちゃん。飴やるわ。
わい、イチゴ味とか食べんのやけど貰ってもうたから。」
そう言って、暁人が私に飴を差し出してきた。
『ん。いる。』
私は貰った飴を、さっそく口に放り込んだ。
酸味と甘さが合わさっていて、とても美味しい。
自然と頬が緩み、笑顔になった。
口の中で、飴を右へ左へと転がしていると
『龍……どしたの?』
龍が下を向いてフルフルと震えている。
「あー…、気にせんといて。龍騎、鈴ちゃんの笑顔に悶えてるだけやから。」
私の笑顔に?
え。何で?