黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
10章:逃げる黒猫ちゃん
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漆黒の、暗闇の中にいる。
「鈴……。」
背後から、懐かしい声で私を呼ぶ声を聞いて、私は後ろを振り向く。
そこにいたのは、
茶髪でボブの少女。
『ーー…麗。』
私の唯一無二の親友だった。
「鈴…。最近、楽しそうね。」
『え?』
「友達も…、出来たみたいだし。」
友達って………龍たちのこと?
違う。
『違う。あいつらは、ただの知り合いだよ。』
「いつも、一緒にいるのに?いつも、一緒に笑っているのに?
………それって、もう友達でしょ?」
麗が、あまりにも悲しそうな顔でそう言うものだから……身動きがとれない。
「約束、したのに…。」
ーーー…私以外の友達を作らない、って……。
麗はそう言って、涙を流した。
『ちが……っ!麗、違う!』
麗の腕を掴もうとしても、麗は漆黒の闇に包まれ見えなくなっていく。
『麗っ!……麗!』
――
―――
――――…
『麗っ!』
私は布団をはねのけて、飛び起きる。
夢……か。