黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】




「………鈴。」


痛いほどの沈黙を破ったのは、龍だった。



「俺にはな、お前が誰と約束してようが知らねえよ。」


『………。はい?』




いきなり何を言い出すんですか、龍さん。



「ただ俺は、鈴が好きだからお前の傍にいるだけだ。」


『………。』



「“好き”とか“一緒にいたい”とか、そういうものだろ。傍にいる理由は。……“約束”とか、そういうもので縛り付けるもんじゃねぇだろ。」


『………。』



龍のストレートな言葉に、揺らぎそうになる。


ひとりで頑張らなくて良いのか、と。

龍の胸に飛び込んで良いのか、と。




でも、それでも



『それでも、……私は麗をひとりにしたくない!』



そう言って、私は部屋を飛び出した。




「お前の友達をひとりにしない方法はひとつじゃねぇだろ!おい、鈴!」


龍の言葉が聞こえたが、無視して走った。






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