黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
走って走って
ただ何も考えずに走った。
あのまま龍の傍にいると、きっと私は麗を裏切る。
逃げたんだ、私は。
揺らぎそうになる自分の弱さから。
龍が追ってくる気配はないので、近くの公園で息を整える。
ブランコに乗って、少し揺らしてみた。
『はぁー…。』
ため息をひとつついて、カツラをとった。
そして、出てきた長髪をリボンでひとつに括る。
学ランにポニーテールというミスマッチだが、今は気にしない。
この街では
男としての“九条 鈴”じゃなく
[黒猫]としての“九条 鈴”でいたい。