黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
『悠平、くん……。』
居たのは、麗の元彼氏。
篠原 悠平。
「戻って……きたの?」
『違う。旅行。』
間髪入れずに答えた。
この男は、麗を信じなかった。麗を悲しませた。
だから態度が自然と冷たくなるが、仕方ない。
そんな私の考えが分かったのか、苦笑いする悠平くん。
「ゴメン。鈴ちゃん。俺、南に全部本当のことを聞いたんだ。」
『………。』
「麗を、信じなかった俺を……恨んでも構わないよ。」
『………。』
何なんだ。
そんなこと言われたら、恨めないじゃん。
思えば、悠平くんも南って子に騙されていた。
悠平くんも被害者なんだ。