黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
黒猫を追って
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(side龍騎)
俺は、走っていた。
もう茜色に染まりつつある空の下で、ひとりの少女を捜しながら。
「くそっ…。鈴。アイツどこに行きやがった。」
俺が捜しているのは
最近、懐いてきたと思ったら
急に突き放してきやがった猫みたいに気まぐれな、それでも愛しい奴。
ソイツを捜していると、ふと視界に入ったのは小さな公園。
こんなところには居ないだろう。
そう思いながらも公園に行ってみた。
その公園には、ひとりの男がブランコに座っていて、その隣のブランコもまた揺れていた。
おそらく、先程までこの男の他に誰かが居たのだろう。
「ワリィけど……ちょっと聞いていいか?」
俺はその男に声をかけた。
「学ランを着た、女顔の男、見なかったか?背はめっちゃ低いんだが……。」
すると、男はバッと俺の方を向いて、
「それって……もしかして鈴ちゃんのコト!?」
そう言った。