黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
書いてある言葉を見た俺は、ニヤリと笑った。
ーーー…やっぱり、そうだよな。
「確かに鈴に渡す。」
「あ、ありがとう!」
そう感謝の言葉を述べる男の肩を一回だけポンと叩いて、俺は公園から去った。
再び走る俺は、ただ託されたこの日記が鈴を救ってくれることを祈った。
ーー…鈴、お前はもう強がらなくて良いんだ。
人より小せぇ身体のくせに、人より大きなモン背負いやがって。
でも、そんなお前だから好きになった。
真っ直ぐな、揺るがない漆黒の瞳に惚れたんだ。
俺が鈴に助けてもらったとき、俺の気持ちは高揚した。
強い瞳の中に、優しさと哀しみを持っていた鈴に、その闇にさえ惹かれた。
だから……今度は俺が助けたい。
「頼むから……いい加減俺を頼れよっ!」
そのとき………俺は視界の端に光るものを見つけた。
近づいていくと
「チッ。……鈴っ!」
それは、ネコをモチーフにしたピアス。
………鈴のピアスだった。
嫌な予感がする。
俺は先程より速く走り出した。