黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
「……おっ、忘れるところだった。ほらよ、鈴。お前にだ。」
そう言って、龍が私に渡したのは一冊の日記。
名前を書くところには、「如月 麗」と書いてある。
『これ、……麗の。』
「公園にいた男にもらった。お前に読んでほしいんだと。」
悠平くんが……。
私は日記を開いてみた。
私と族を潰したことや、悠平くんとのこと。
入院のことまで書いてあった。
そして、
麗が死んだ日の日記。
《今日は、新月だ。
私は今日、鈴にヒドいことを言ってしまった。
鈴が、私以外の友達を作らなくなったら、鈴はひとりになってしまうのに。
私の言葉は、鈴にとって呪いになってしまう。
だから、見えない月にお願いしよう。
どうか、どうかもう一度
誰かがあの子に魔法をかけてくれることをーー…。》
『………。』
ポタポタと、私の瞳から涙が落ちて、紙にシミを作る。
麗は、私が友達を作ることを望んでいる。