黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
「ま、晴れて恋人になったし。」
『え?』
暗転。
気づくと、私は龍に押し倒されていた。
『………何をするおつもりで?』
「ん?知りたいか?」
『結構です!』
いやーに妖しい笑顔で言うから、首をブンブン左右に振って否定した。
「なら、黙ってろ。」
そのまま、顔を近づけてくる龍。
しかし
『す、……ストップ!』
唇が触れるギリギリのところで、私は私と龍の顔の間に手を入れた。
「……んだよ。」
不機嫌になる龍。
『い、いや、その………いつ目を覚ますか分かんない不良がいる前での、その……き、キスはちょっと。』
私が言うと、なるほど。という顔をする龍。
「つまり、あれだろ?」
『は?』
「誰も居ないところなら良いんだろ?だったら早く旅館に帰るぞ。
……どうせ同室なんだしな。」
なんだかスゴく帰りたくないような、そんな気持ちにさせられた。