黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
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旅館に戻ると、ちょっとした騒ぎになっていた。
塚原に説教をされた私と龍。
「お前らなぁ……教師の俺の立場を考えろよ。心配するじゃねえか、俺のクビを。」
『教師をやめてください。』
生徒の無事を心配してよ。
「だいたいなぁ……逢い引きするなら別でやってくれ。」
『逢い引きって……違いま』
「分かった。別でやる。」
ちょっとしたからかいの言葉だったのだろうが、龍の返答に塚原は目を見開いている。
『………龍。』
私は龍を睨むが、目をそらされる。
俺知ーらない、みたいな顔されても困る。
「そ、そうか。先生は別に……同性愛に偏見はないぞ。」
『あんたの言葉のせいで龍がふざけただけです。』
「ただ、本当にそんな関係とは思ってなかっただけで……驚いてるだけだ!」
『聞いてよ。』
人の話に聞く耳を持ってくれない塚原に、私はため息を一つこぼした。
すると
「「鈴ちゃん。」」
背後から声をかけられた。