黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
私は麗のお墓に、手を合わせ、手紙を置いた。
ここに来るまでに、急いで書いた手紙だ。
―――…《麗、この手紙の内容、龍は知りたがると思うけど。》
「なんだ?その手紙。」
『……ひみつー。』
―――…《龍には、内緒にしておいてね。》
「………生意気。」
『いや、生意気って……ちょっ、うわっ。』
いきなり、腕を引っ張られ、龍の顔が間近に迫る。
「そーいやー、誰もいないんだったら良いんだろ?キス。」
『………麗のお墓の前ですけど。』
「見せつけりゃー良いじゃん。」
そう言って、さらに顔を近づけてくる龍を、私は拒まなかった。
―――…《ねぇ、麗。今夜はー…。》
私たちは、月を背景に、優しく唇を重ねた。
―――…《今夜は、満月です。》
*fin*
→(あとがきの後、おまけがあります。)