黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
『お母さん』
私はお母さんの服の袖をツンツンと引っ張って
お母さんを見上げる。
決して私が小さい訳じゃない。
148cmだし………15才の平均身長より少し小さいけど………。
「〜っ!もう!鈴ちゃん小さくて可愛い!」
頬を紅潮させてガバッ、と抱きついてくるお母さん。
『お母さん………。小さいって言わないで。』
ちょっとコンプレックスだから………。
落ち込む。
小学生の頃、頑張って牛乳飲んだのに…。
「あー!もう!こんな可愛い子を一人暮らしさせるなんて心配だわ!」
『え?一人暮らし…するの?』
ちょ、初耳なんだけど。
「そうなの…。恢さんがね、ヨーロッパのどこかに転勤になっちゃって………。」
『なんで転勤場所がそんなにアバウトなの?』
夫の転勤先くらいきちんと把握しないと。
あと、恢さんとは、私のお父さん。
IT企業の社長なの。
カッコいいの。
優しいの。
完璧なの。←ファザコン