黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
結局私は首根っこ掴まれたまま屋上まで連行された。
屋上行くなら屋上行くって言ってよ。
とか思いつつも何も言えず、龍があぐらをかいた足の間に座らされた。
『なんで俺、連行されたの?』
真面目な質問。
首根っこ掴まれて、…強引じゃない?
背後から、龍が何でもないことのように答えた。
「実は、尚哉がお前のコト調べたんだよ。尚哉は優秀なハッカーでな。」
『……は?』
私の情報をハッキングしたってこと?
え、てか…え?
尚也って…高校生なのにハッカーなの?
困惑する私をよそに龍は話をすすめる。
「でもな、お前の情報は一切出てこなかった。」
『へぇ…。』
そりゃ私はお父さんにハッキングの方法もブロックの方法も教えてもらってるから。
…ほとんどお父さんにしてもらったけど。
「でもな、情報が一切ないってのは普通、ありえない。」
尚也がハッキングを失敗したのは初めてだ、と龍は言う。
『………。』
え、じゃあ私のお父さんって…。
「お前、何物だ?」
龍の言葉は私の出方を伺うように慎重だ。
だけど
『………。』
私の場合、お父さんが何者なのか気になる。
にしても、
嘘の情報書いとくようにお父さんに言えば良かった。
そしたら怪しまれなかったのになー。