黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
鈴は[毒牙]総長を見て
『そっか。あんたはまだ強くなるよ。』
そう言った。
[毒牙]総長は鈴を見る。
『今のお前の状況で、私に向かって来る奴は、よほど弱い奴。
きちんと状況判断ができたお前はまだまだ強くなるよ。』
「………情けか?」
『まっさか…。私、人に情けをかけるほど良い人じゃないの。』
あー、疲れた。
フードを被りなおして、鈴は倉庫から出ていった。
外は闇なのに
黒い服を着ている鈴は、見えなくなるどころか
逆に目立っていた。
そんな鈴の後ろ姿を
[毒牙]総長は見つめていた。
(一般人に手ぇ出したら痛い目見そうだな…金的はくらいたくねぇよ…)
はぁ、と息を吐いた[毒牙]総長だが
口元には笑みが浮かんでいた。
そして倒れているみんなを起こした。
「っと、おい、みんな起きろ」
「そ、総長…急所へのキックは、痛かったッス」
「乙」
未だに痛がっている仲間を見て、一般人を襲うのはこれっきりにしようと決意した[毒牙]総長であった。