黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】





「で、どうする?俺の女になるか、鈴?」



ただでさえ近い顔を更に近づけて言う龍。





『ーーっ!……ならないっ!』


顔を背けながら言うと




「あ?なんでだよ。」


すごい剣幕で言われた。



なんで、って言われてもならないもんはならないんだよ、この俺様っ!、とか言いたいけど
龍が怖いので言えない。






私は必死で理由を考え



『だ、だって、なんで龍が私のこと好きなのか分かんないし!』



顔を背けたまま、そう言った。




すると
龍は私の顔をグイッと動かし
ムリヤリ目線を合わせられた。




そして



「俺は二年前から、お前に惚れてんだよ。鈴。」



強い光を持った灰色の瞳が、私を貫いた気がした。







< 92 / 212 >

この作品をシェア

pagetop