NON STOP LOVE
2、滅びゆく世界から逃げだそう
shinjiro's story
俺は兄貴の彼女を好きになってしまった。
彼女は、俺の元カノだった。
束縛が激しかった彼女が嫌で俺から振った。
それがこんな形で出逢うなんて。
彼女も知らなかったのであろう。
初めは驚いていたが、今ではもう普通。
彼女はあの時よりも綺麗になっていた。
手放したのは、俺だと知りながらも
だんだん深みにはまる恋から逃れる術を知らなかった。
もう一度手に入れたいと思ってた夜、
嫌な声が耳に届いた。
彼女の喘ぎ声。
あの頃と変わらない、あまいあまい声。
それが隣の兄貴の部屋から聞こえてきてると知り、吐きそうになる。
弱い俺は部屋を飛び出し夜の街に消えた。
出会った女と身体を重ね、嘘の言葉を振りまき続けた。
酒を吐く程飲んでも
女を何度も抱いても
甘い声は消えはしなかった。
逃げでも逃げても振り払えない感情。
弱い俺は迫りくる現実から逃げ出すことしかできなかった。
滅びゆく世界から逃げだそう
(目の前で繰り広げられる現実を受け止めたくないから)