途方もない恋








嬉しそうに卓哉が笑うから



苦しくても、切なくても傍にいたいと思えた






けれど一番の理由は



ただ卓哉が好きだからなんだと思う







「あったかい、タキちゃん」







月夜に照らされ抱き合う私たち



けれど心は寄り添うものなんかじゃなくて




聞こえないほど小さな声で私は




「卓哉はずるい」




そうぽつりと呟いた




「え?」






きっと卓哉はその意味を知らない









< 42 / 121 >

この作品をシェア

pagetop