走りだした夢
「自分のことばかり考えているなよ。僕だって寂いしいんだ。親友が2人も同時にいなくなるんだよ。君たちは良いよ。どうせ同じ学校だろう? 僕は一人ぼっちじゃないか。一緒に走ってくれる友達もいない。君たち以外に、ロードバイクに乗っている小学生がどこにいるんだよ」
泣くもんかと思っていたけれど涙が止め処も流れてきた。
「どうしたの?」
大声を聞きつけて鈴木琴美がやって来た。
僕は口から血を流しているし、風太と隼人も傷だらけで埃だらけ。琴ちゃんの時間が停止したかのように固まっている。
「大丈夫だよ。琴ちゃん驚いたよね」
僕の声で琴ちゃんは我に帰った様で「流ちゃん、口から血が、風太君も隼人君も服破れてる。ケンカしたのね」
「こんなの平気だよ」
隼人がズボンの埃をはたいた。
「聞いたわ。風太君と隼人君引っ越すんだってね。寂しくなるわね」
琴ちゃんの言葉に3人は何も言わずに、黙って顔を見る。
「あっ、新しい自転車ね。物凄くカッコイイわね。私絵を描くわ。また3人で競争してよ」
琴ちゃんの一言で勝負の場所を思い浮かべた。
「鴨宿公園激坂ヒルクライムレースでいこう」
「受けて立つぜ」
隼人がロードバイクに跨って言った。
「面白いじゃないか」
風太も楽しそうに言う。
僕もロードバイクに乗ると駅前の信号のところに止まった。ここから鴨宿公園までは約2,5キロ。
「ここがスタートでいいよね」
僕が言うと2人とも「ああ」と頷いた。
ゴール前の坂の頂上には琴ちゃんが立っている。
「風太。お前がスタートを切れ。お前のタイミングで」
「いいんだな」
「いいよ」
隼人君は頷くだけだった。
「ヨーイ、スタート」
泣くもんかと思っていたけれど涙が止め処も流れてきた。
「どうしたの?」
大声を聞きつけて鈴木琴美がやって来た。
僕は口から血を流しているし、風太と隼人も傷だらけで埃だらけ。琴ちゃんの時間が停止したかのように固まっている。
「大丈夫だよ。琴ちゃん驚いたよね」
僕の声で琴ちゃんは我に帰った様で「流ちゃん、口から血が、風太君も隼人君も服破れてる。ケンカしたのね」
「こんなの平気だよ」
隼人がズボンの埃をはたいた。
「聞いたわ。風太君と隼人君引っ越すんだってね。寂しくなるわね」
琴ちゃんの言葉に3人は何も言わずに、黙って顔を見る。
「あっ、新しい自転車ね。物凄くカッコイイわね。私絵を描くわ。また3人で競争してよ」
琴ちゃんの一言で勝負の場所を思い浮かべた。
「鴨宿公園激坂ヒルクライムレースでいこう」
「受けて立つぜ」
隼人がロードバイクに跨って言った。
「面白いじゃないか」
風太も楽しそうに言う。
僕もロードバイクに乗ると駅前の信号のところに止まった。ここから鴨宿公園までは約2,5キロ。
「ここがスタートでいいよね」
僕が言うと2人とも「ああ」と頷いた。
ゴール前の坂の頂上には琴ちゃんが立っている。
「風太。お前がスタートを切れ。お前のタイミングで」
「いいんだな」
「いいよ」
隼人君は頷くだけだった。
「ヨーイ、スタート」