走りだした夢
疾風は笑って去って行った。
全てのカテゴリーのレースが終了して大変な快挙があった。中学生以上の優勝タイムが42秒213。小学生高学年、風間疾風の優勝タイムが42秒212。風間疾風の方が0.001秒速かった。
風太はホテルに帰ると、悔しくて悔しくてたまらず、大泣きをしている。何を言っても治まらないので放っておいた。そのおかげで僕も隼人も寝不足になった。当の本人はというと、泣き疲れて爆睡。朝は目が腫れていたが疲れはすっきり取れていた。
仙台を出てからは日にちが少なくなってきているのもあり、24時間のうち16時間は走るように頑張った。途中、車に嫌がらせされたり、事故になりそうになったりした。雨の日に泥道を急ごうとダンシングすると、みごとに3人とも転んだ。半田に戻ったのは予定より3日遅れの8月23日だった。
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