Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
初めてのおよばれ





「えっ、パーティ・・・ですか?」


突然の丸山主任の言葉にわたしは戸惑った。



「そうなのよ。うちの主人仕事で半月ばかりロスに行ってきてから、アメリカかぶれしちゃって。ふぁんた君の話したら、主人どころか娘まで乗り気になっちゃって」



「丸山主任、結婚してらしたんですか?」



「あら、そんなに若く見える?してるもなにももう15年目よ」



「早くご結婚なさったんですか?」



「早くったって、私たちの年代じゃ25歳で結婚は適齢期よ。むしろクリスマスイブが過ぎて半額落ちだな、なーんて父親から言われたものだわ。分かる?25歳とクリスマスの日にちの25日をかけた洒落よぉ。今の子達には通じないかしらねぇ」


丸山主任は得意そうに言った。



―そうか、このぼけっぷりが若さを保つ秘訣だったんだ。うーむ―


わたしが困惑している間に

「じゃ、今週の土曜日ね。私はその日休みだけど主人と車で会社まで迎えに来るから」

と、さっさと行ってしまった。
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