Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
ふぁんたが、大通りでタクシーを拾おうと言った。
わたしは、せっかくこんな格好をしてるのだから少し歩こうと誘った。
「見てふぁんた、東京も結構星が見えるのね。知らなかったわ」
「簡単なことだよ。ちょっと空を見上げればいい。見ようと思えばなんでも見れるよ。星も人の心もね」
ふぁんたは腕を差し出した。
わたしはぶら下がって新郎新婦の星のキャンドルサービスとはしゃいだ。
ふぁんたは力強い腕でわたしを引っ張って歩いた。
車道を走る車の若者が
「よお、仮装パーティ帰りか!」
とひやかした。
「そうよ、羨ましいでしょ!」
わたしはテールランプに向かって叫んでいた。