Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
お金には困っていなかったが、母はわたしが小学校にあがると一人で家にいるのがつまらないからと、隣の駅前に新しくできたスーパーにパートとして働きに出た。
まだ三十手前だった母は、社員になるように勧められたらしいが、「娘、最優先」と断ったらしい。
わたしへの公約どおり、母は学校のすべての行事に顔を出した。おかげで母は小学校ではすっかり有名人になってしまった。