Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
公休日、わたしは久しぶりに地元の商店街をふぁんたとぶらついた。
「あれ、ふぁんたちゃん、今日はお姉さんと一緒?珍しいね」
野菜をぶら下げたおばさんが、前方から声をかけてきた。
―どっかで見た顔だったかな?―
「うん、いいでしょう!後で寄るね」
ふぁんたは手を振った。
「誰だっけ?あの人」
わたしは思い出せなかった。
「角のテイクアウトのお店のおばちゃん。〔てがる〕って名前のお店。姉さん知らなかったの?僕たこやき買ってよく管理人のおばさんと一緒に食べてるの」
「はあ、たこやきねぇ」
―そういえばいつもニコニコして、売り場の窓から外を見てる―
わたしはニコニコしてたこやきを買うふぁんたと、ニコニコしそれを売る二人を想像して笑ってしまった。