Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
わたしたちは駅前のパン屋でサンドイッチと飲み物を買った。
あまりにも良い天気なので、多摩川の土手で日向ぼっこしながらランチを食べようとふぁんたが提案したのだ。
パン屋のレジでふぁんたは
「おねがいします」
と言って品物を出し、それを受け取るとき
「ありがとう」
と元気よく言って係りの女の子にクスクス笑われていた。
「ふぁんたはいつもああやって買い物のとき、いちいちお礼を言ってるの?」
「うん、当たり前でしょ。でも女の子たちは必ずといっていいほど笑うんだ。なぜだろう・・・」
「今どきあまりお客のほうからお礼言わないもの」
「えっ、なぜ?」
「なぜと言われても、・・・うーむ」
わたしは答えに詰まってしまい、子供のような質問をするんじゃない!とお茶を濁した。
ふぁんたは当然ながら腑に落ちない顔をしていたが、運よく助け船が現れた。