Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





「おにいちゃん!今日はデートなの?」


小さな男の子が、犬に引きずられながらやってきたのだ。



「やあ、しんたろう君にしんじろう、散歩なの?幼稚園は?」


ふぁんたが親しげに言った。



しんじろうは犬の名前らしい。



「パパが帰ってきたからお休みしたの。けど、今はママとふたりっきりにしてあげたいからしんじろうと出てきたの」


しんたろう君は必死でしんじろうの綱を引っ張りながら言った。



「そうかあ」


ふぁんたは目を細めた。



「おねえちゃん、おにいちゃんは大工さん上手なんだよ。ぱっぱって作っちゃうんだ。あ、こら、しんじろう!ごめんね、また今度」



しんたろう君は少しもじっとしていないしんじろうに引きずられて行ってしまった。



「今の内容を説明せよ」


訳がわからずわたしは聞いた。






< 125 / 222 >

この作品をシェア

pagetop