Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「樋口さん、頑張って。僕すぐ近くに待機してますから」
スージーが頼んだ。
「だってぇ、もしかして殺人なんかもしてる凶悪犯かも知れないし」
「わっ、わたしが行きます。制服同じだし、女性なら犯人もあまり気にしないかもっ」
わたしはつい、そう言って右手を上げた。
言ってる先から後悔していたが、何とかしなければと気がせいてしまった。
「ばんびぃ、ありがとぉーっ」
樋口さんの一言でみんなはわたしを押し出した。
「頑張るのよっ、ケガしたらパーティーは延期でもいいからねっ」
「何かあったら、ふぁんた君のことはちゃんと引き受けるから」
「万が一のときは労災が下りる様に僕が本社に掛け合いますから」
―あのねえ、あなたたち生きて帰ったら覚えてろ―
わたしは顔で笑って決心を固めた。
そのときカウンターから呑気なふぁんたの声がした。