Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「何だって!あんたら何やってんだ!あいつらには既に数百万の被害を受けてんだ!まったくなんてことしてくれたんだ!やっと追い詰めたというのに、どうして引き止めておかなかったんだ!ええーっ!?」
ごろんとした背の低い刑事がダミ声を張り上げてわめいた。
「ちょっと、どうしてわたしたちが怒鳴られなければならないのよ!不手際をおこしたのはそっちでしょ!どこから駆けつけたか知らないけど、電話してから10分以上も経ってるじゃない!このビルの近くには歩いて一分のところに交番もあるのよ!そこから警官をよこすとか、ビルの出口で待機させるとか、素人でも考えつくわよ!それを何分も経ってからガン首そろえてのこのこやってきて、人のせいにして高飛車な態度とって威張るんじゃないわよっ!!」
「なんだとぉ、この!」
「この、何よ!図星つかれた?」
わたしは止まらなかった。
同じ警察官でも温和な角のおまわりさんに比べて、権力をカサにきたようなこの刑事の態度には我慢できなかった。