Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
みんなはホテルからタクシーまで用意されてて驚いていた。
わたしは支払いのことは、もうどうにでもなれの気分だった。
けれど、けして悪い気分では無かった。
スイートルームは権田ママとお母さんに譲られた。
「ねえ、ふぁんた。スイートもママたちの為に用意したの?」
わたしは帰りのタクシーの中で尋ねた。
「まさか、予約が先だったでしょ」
「そっか・・・・そうだよね。じゃあどうするつもりだったの?パーティーはバンケットルームでしたんだし」
「僕、一緒に泊まるつもりだったの姉さんと・・・」
「えっ、な、何で」
わたしはぽっとなってしまった。
―こらっバンビ何をうろたえている、ふぁんたは弟だぞっ!血迷うなっ!―
「・・・姉さんと、樋口さんと、渡辺さんと、スージーと他のみんなとで!だってみんなと遅くまで遊びたかったし、スイートなら広くていいもの」
「へ・・・」
「へ?って?」
「あ、いやいや、残念だったけど今回はしょうが無いよ。権田ママの為だもの」
「そうだよね。僕もこのほうが良かったと思ってるよ。さすが姉さん」
ふぁんたはニッコリした。