Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
悩めるスージー
会社のみんなはしょっちゅうふぁんたを呼び出して、飲み会に誘った。
「ばんびちゃーん、今日タコ時PMいつもの店よろしくねっ」
タコ時とは8時のことだそうだ。
―他の数字はどうなるんだろう?―
「渡辺さん、よく連チャンで疲れませんねえ」
「ふぁんた君と会うと疲れがふっとぶのよ」
「げっ、また呼んだんですかぁ」
「だってぇ、わざわざ携帯持ってくれたし。せっかくだからね」
―おいおい、ちょっと違ってるぞ。殆ど日中は外にいて捕まらないから無理矢理携帯を持てとほのめかしたのはバレているのだ―
しかし、ふぁんたは相変わらずいやな顔ひとつせず、呼ばれればポチのように必ず来ていた。
―そっか、嫌じゃないんだな、きっと―
ふぁんたといえば、わずか18年間の人生でよくこれだけ色んな体験と知識が詰まっているなってくらい話題に事欠かず、けしてみんなを飽きさせることは無かった。