Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





「ヨネちゃん、新潟は水も空気も野菜も魚も何でも凄ーく美味しいって話よ」


美穂さんが言った。



「それにご飯が最高よ。なんたってコシヒカリだもんね!」


はるかさんが言って美穂さんも「ねー」と首を横に傾けた。



「僕は、3年ほど単身赴任で新潟にいたけど食いモンは最高だったよ。物価も安いし」


隣のテーブル客がそう言うと、スージーが少し顔をあげた。



「俺も出張でたまに行くけど、甘エビの味が忘れられないなぁ。口の中でふわぁっと甘味が広がって、とろっとしてて何とも言えず、・・・とろっとって言えば寒ブリ!これがまた脂がのって身が引き締まっててさ、あ、寒といえば冬場のカニ!ありゃ最高だね!紅ズワイ蟹なんて佐渡まで行ったら口からはみ出すほど食って二千円そこそこだったな。ジェットフォイルで一時間程度でいけるし、日本海の海底についさっきまで這い回っていたヤツを水揚げ直後に茹でたのをすぐ食べられるんだ。蟹味噌たっぷりの甲羅酒なんかキューッとやったらもうたまんないね。あっ酒といえば新潟の日本酒は・・・」



カウンターの客も参加し、どんどん話が盛り上がっていった。



スージーの顔がみるみる明るくなった。
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