Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
隣のテーブルとカウンターのやりとりが最高潮に達しかけた瞬間、スージーはどーんと落ちた。
「ヨネちゃん奥さんも子供もいないのよねー」
はるかさんがスージーを覗き込んで、とどめを刺した。
「家族無しかぁ、そりゃ退屈かもなぁ」
「スキーなんかどうだ?」
「僕、運動苦手なんです・・・」
「釣りは?海も川も両方いけるよ」
「生きた魚触れないんです・・・」
「トレッキングは?なんたって最高の自然環境だからな」
「小学校の頃、遠足で山に登って一人だけ〔うるし〕にかぶれて酷い目に遭いました」
再び店内は真空状態になってしまった。