Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





ふぁんたは歩道の無い道を歩くときは、必ずわたしをガードして路肩側を歩かせた。



人ごみの中では一歩前を歩き、力強い腕でわたしを引いた。



「ふぁんたって雪掻きのラッセル車みたい」


とわたしははしゃいだ。



時代劇の撮影所では、前の人だかりで見ることが出来ない子供を肩車して喜ばれていた。






京都の町並みは何故かわたしをノスタルジーに浸らせた。



―やはり母とふぁんたの父親はここで愛し合い、結果母はわたしを身ごもったんだ・・・―
< 187 / 222 >

この作品をシェア

pagetop