Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「いいえ・・・お母様は好きだった人と別れてから本当にご苦労なさいました。私はただ話を聞いて差し上げることしかできませんでした。よく教会で泣いておられました。でもある日を境にどんどん元気になられて・・・そう、3日ほど京都へ旅行に行ってこられてからです。私はもう大丈夫って、一人でこの子を立派に育てますって、お腹に手を当てて・・・旅というのは時には不思議な力を引き出すものですね」
「一人で育てるって?・・・京都旅行に行ったときわたしはもう母のお腹にいたのですか?」
わたしは頭がくらくらし、目の前がチカチカしてきた。