Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「最後にお会いしたのは、昨年の12月でした。お母様は毎年クリスマスの寄付金集めを手伝ってくださっていましたから」
「母はそんなこともしていたのですか?」
「はい、とてもご熱心に。・・・その時そろそろあなたに本当のことを話す決心がついたとおっしゃいました。『いつまでも処女受胎はまずいもの、娘には知る権利があるものね、いくら父親がどうしようもない人間だったとしても』って。・・・もしかしてお母様は打ち明ける前に亡くなったのですか?」
フォードさんは、こういう展開の場合普通は言わないとこまで喋ってしまった。
「詳しく、お話し下さい。」
わたしは意外に落ち着いていた。