Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
アメリカ映画のように





会社に着くとスージーが、お祭り騒ぎのように浮かれていた。



「どうしたんですか?」


私は樋口さんに声をかけた。



「あ、お帰りバンビちゃん。スージーあてに大量注文が入ったのよ。世界中にチェーン店を持つヤオテンの東京本社から。社員旅行から、お中元お歳暮のギフト商品券、社員の出張交通手配からホテル予約まですべてよ!少なく見積もっても年間数億は固いわね」



「なにそれ、すごーい!どういうコネなんですか?」



「それが当のスージーも、他の誰も心当たりがないんだって。ヤオテンといえば、営業幹部クラスがあの手この手で頑張ったんだけど、一社独占は今まで難しかったんだって。とにかく降って湧いたような吉報に支店長はもとより本社の役員も大喜びよ!」



「じゃあ、転勤の話は?」



「白紙だって!」






わたしはスージーに駆け寄った。









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