Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





養子かもしれない、という考えは区役所の戸籍謄本で簡単に取り消された。しかし、もしかしてわたしが生まれる前に離婚したとか、死別したとかいう事実が分かればと思ったが、謄本はわたしを未婚の子供だと確定させた。



「うーむ」


知り合いは、二人になってから越してきたこのエリアの近所のおばちゃんたちだけだし、親戚はいるのかいないのかも分からないし、わたしはあっさりとギブアップした。


そして、大人のくせに天真爛漫な母も見てたら、いつしか父の存在などどうでもよくなった。同時に、こんな母をわたしは自分が成長するにつれ、いつしか精神年齢を追い抜くのではないかと真剣に思い始めた。







ところがわたしが短大に入った頃、偶然にも父の存在をほのめかす出来事があった。
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