Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





「お母さん、話があるの」


「なにかしら?」


母は、スーパーから貰ってきた見切り品を嬉しそうにテーブルに並べたてながら返事をした。



「今日、写真が出来てきたの」


「久志君とのデートのね。このぉ早く見せなさい」


「それもあるけど、・・・はい、焼き増しを受け取ってきたわよ」



母はじーっとわたしの全身写真や、上半身のアップを手に取ると言った。


「・・・美人だわ。遺伝ね」


「そうじゃなくて!何のために焼き増しをしたの?言いましょうか?父さんに送ってるんでしょう。道ならぬ恋だったとしてもいまさら驚かないから白状しなさいよ!」



わたしは精一杯平然を装った。
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