Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





「やだなぁ姉さん、僕はカリフォルニアから来たんだよ。午後成田に着いたの。姉さんに会えると思ったら飛行機の中では興奮して眠れなくて。・・・敦子さんは手紙に自分の住所を書かないから僕はレターの消印スタンプからこのエリアをみつけて、電話帳で敦子さんの番号を調べた。そしたらアンサリングマシーンが鳴って、僕はとりあえず名前だけ入れたのだけれど、念のため交番へ行って住所を聞いたんだ。そしたらポリスは敦子さんは事故で3月の終わりに死んじゃったって。僕がそのことを伝えるためにアメリカのママに電話したらママは夏休み中居てあげなさいって。・・・ママは泣いていた。僕しばらくはアパートの前で待っていたんだけれど、少しでも早くばんびに会いたくて駅に移ったの。だけど何しろ移動でずーっと眠ってなくてうとうとしてきちゃって。それでこの素敵な方法を思いついたの。角の電気屋さんが箱くれて、マジックペンは駅の人に借りた。そうそうこれは敦子さんからの最後の手紙」



ふぁんたは目を潤ませて一気に説明をすると、―あいにく、すぐには理解できなかったが― バカでかいリュックからエアメールを引っ張り出した。



まぎれもなく母の字だった。



おまけにそのエアメールは母の遺品から出てきた物と同じシンデレラ城の絵付きだった。
< 53 / 222 >

この作品をシェア

pagetop