Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
その日はパート先のスーパーが夕方にもかかわらず珍しくヒマで、母は朝から
「今日は娘の誕生日で家でパーティーをやるものだからすごいご馳走を作るの。早く退社時間にならないかなぁ」
などど聞こえよがしに数十分おきにわめき、とうとう主任から早退を許されたらしい。
結局そのスーパーでのろのろと買い物をしていた母は、
「しまった、これじゃあ早退の意味がないわ」
とレジでブツブツ言いながら、時計を見て走り出したそうだ。