Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
またまた二人家族
「姉さん、ごはんが出来た。起きて!」
ふすま越しに、はつらつとした声が響いた。
―な、何だ誰だ・・・・ああ、ふぁんたか。やっぱり夢ではなかったのね―
時計を見たら7時だった。
―冗談じゃないわ、わたしは8時に起きれば充分間に合うのだ―
「姉さん、朝からキチンと食事取らないと駄目だよ!」
またふぁんたが叫んだ。
「ああーっ、うるさいっ!わたしの生活を乱すなら追い出すわよっ!」
わたしは思い切りふすまを開けて怒鳴った。
コーヒーと味噌汁と、トーストとご飯の匂いが押し寄せてきた。
そして相変わらずニコニコしたふぁんたが、フライパンのベーコンエッグとコンロの焼き魚を、それぞれ用意した皿に盛り分けていた。随分と嬉しそうに。
「なに、これ」
「僕昨夜、姉さんの朝食和風か洋風か聞き忘れたから両方作ったの。余った方僕食べる。もちろん姉さんが両方食べてもいいよ」
―食べられるかこんなに―
「ブラックコーヒーだけでいい。それとわたしの起床時間は8時よ。それより前に起さないで!あぁっ調子が悪い!」
「ごめんね。喜ぶかと思った」
その時ふぁんたは本当にがっかりした顔をしたので、ほんの少しかわいそうになったが最初が肝心だ。