Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
帰ったらフランス料理のフルコースを前に、ふぁんたが定番のにこにこ顔をして待っていた。高そうなワインまで添えて。
「・・・信じられない。ほんとに作るなんて」
わたしは食べないわけにいかなかった。
なにしろこれはわたしの注文なんだから。
「料理するのは大好きなの。あ、ワイン開けるね。僕は未成年だから付き合えないけど」
優しい口調でふぁんたは言った。
ぽんと乾いた音がしてコルク栓が抜かれた。
ココココとわたしのグラスにワインを注ぎ、そして自分のグラスには水を注ぐと「二人の生活に乾杯!」とふぁんたは元気よくグラスを掲げた。