Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
パーテーションで仕切られたカウンタールームのざわめきは、きゃーきゃー言うはしゃぎ声に変わった。
「危ないわ!車にはねられちゃう」
「大丈夫よ、車がよけてるわ」
「あっ、信号青になった。デパートの方に歩き出した!」
「おばあさん、ぺこぺこおじぎしてるよ」
「あっ、点滅してるのにあの子また車道に飛び出したわよ。何か拾った」
「セーフ、こっちまで渡りきった!あれ、こっち見てる。ねえ誰か手を振ってみなよ」
「きゃはは、手を振り返したわ。ねっ、ちょっとカッコイイ子ね」
「うん、素敵かも。カウンター来ないかな」
「はい、皆さんそこまで。お客様がみえましたよ」
スージーがやわらかく言った。
『いらっしゃいませ!!』
みんなは、ばらばらと所定の位置に着いた。