Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「いやあ、助かりました。ところで君はどちらさまですか?」
スージーの声がした。
「僕はアメリカ国籍の日本人で、天草ファンタといいます。どうぞよろしく」
「これはこれはご丁寧に、僕は鈴木スージーといいます。こちらこそよろしく」
「ちょっと、課長の本名は米吉でしょう?なに、つられてんですか」
再びカウンターに行った小林さんに示唆されてスージーは、ああそうだった!と笑った。
「ねえねえ、さっきの見たわよ。荷物は無事だった?」
後を追った樋口さんが言った。
わたしはそろそろとイスから立ち上がり、逃げる準備をした。