Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―





「スージー、どこが本場の日本料理なんですかぁ」


地下の居酒屋で生ビールを注文しながら、みんなが言った。



「こんなことだろうと、・・・あっ、揚げだし豆腐!・・思って、・・・それとげそ揚げ!・・ましたよ・・・あとほっけともろきゅうもね」



「小林君、文句か注文かどっちかにしなさい。ウエーターさんが困っていますよ」


スージーが言うと、小林さんは迷わず文句を捨てて一気に5品追加注文した。



「ふぁんた君のお国には無い日本料理店に連れてきたのです」


気を取り直してスージーが言った。



「あーらスージー。いつの話してるのよ。今時アメリカの主要都市で居酒屋の無いとこ探すほうが大変よ」


渡辺さんが言った。



「あれ、そうだったんですか?みんなはいいですねぇ海外旅行なれしてて。僕なんかせっかく旅行会社にいるのに、入社以来15年、外に出たのは研修旅行のグアムだけで・・・ぶつぶつ」



「スージー、大丈夫!僕今度スージーをアメリカに招待するから」


ふぁんたが同情して言った。



「嬉しいなぁ。やっぱり男同士は気が合いますね。よしっ、今日はこのあともう一軒行きましょう」




スージーはすこぶる元気になった。



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