Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―
「ごめんなさい。僕あなたの恋人にアプローチしました。ボ-イフレンドいるの知らなかった。許してください」
必死の形相でふぁんたは謝った。
ぴーんと張っていた糸がふにゃふにゃになって、ひろし君は目をぱちくりさせた。
やがて、
「いや、わかりゃいいんんだ。俺も手荒なことはしたくねーしな」
と言って、ふぁんたの肩をぽんぽんと叩いた。
ひろし君は、
「なぁーんだつまらないの。案外弱っちいのね、あのハンサム」
「見掛け倒しよねー」
などと無責任な言葉を発する傍観者の間をのしのしと歩み去った。
ひろし君の彼女は嬉しそうにペコリとふぁんたに頭を下げて、彼の後を追って行った。