Monochrome Hands[BL]
あいつらの追手か? なら運が悪い。オレはこいつに確実に殺されるだろう。

撃たれていなければこいつなんてひねりつぶせるのに、そうする事も出来ないから。


「殺すなら……殺せよ……」


気力を振り絞って放ったその言葉に応じるかのように、男は近付いてきた。

しかし不思議な事に殺意が全く感じられない。

それなのに表情が変わらないからか、少しだけ怖いとも感じてしまう。

一体オレは何をされるのだろうか、と。


「                   」


オレの傍まで近づき、しゃがみこんだ男は耳元に息を吹きかけている……

というよりかは何か喋っているように感じたが、声は全く聞こえなかった。

オレが単に聞きとれていないだけかもしれないけれど。

空は曇っているのに、太陽のような温かくて優しい匂いが鼻腔をくすぐる。

男のその口は撃たれて血まみれになった足に触れ、

色白の肌に、俺の血で奴の唇が赤く映えるように染まっていくのを見た瞬間、

痛みを堪えるのが限界になって。

雨が降り出す音が聞こえたかと思った時には、意識をそのまま手放していた。
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