Monochrome Hands[BL]

天国でも地獄でもない場所

「ああ、目が覚めたかい？　もう丸三日も眠っていたんだよ？　ちなみに今は昼間だよ」


目を覚まし、広がった光景は知らない物だらけであった。

聞き慣れない男の声と、見覚えのない茶色の天井。

背中と腹には柔らかい感触がある。

どうやらオレは生きながらえたようだと言う事だけははっきりと分かった。


「此処は……」


起き上がって辺りを見回そうと思ったのに、先程の声の主であろう焦げ茶色の髪の男に引きとめられ、

再びオレはベッドへ沈んだ。そうするからにはしっかりとこの状況を説明してくれるんだろうな？

そう思っていたら、男は頼んでもいないのに自己紹介を始めた。

オレにはそんなモノどうでも良かったのに。


「僕はリク。此処の住人だ。大丈夫。警戒しないで。
こっちは君に危害を加えるつもりはないから」


髪の色で既に分かっていたが、あの時の男ではない。

髪の色だけでなく瞳の色も全く違うし、背丈や外見だけで感じ取れる年齢も違う。

このリクという男は、あの男よりも年齢は上。二十は過ぎているだろう。

それにアイツは穏やかではあっても、こんなに気さくな奴にも見えない。

あの男の知り合いなのだろうか？