君の音色
教室に行くために、愛里奈と二人廊下を歩く。
廊下ですれ違う先輩は、髪の色が明るい人やピアスの空いている人が多い。
校則が緩いんだなぁー。
そんな事を考えていると、急に愛里奈が腕を引っ張ってきた。
愛里奈の方をみると、私の耳に顔を近づけてきた。
「ね~、未亜ー。なんか、私達見られてない?」
ちょっと、震えながらチワワみたいに怯えている。
うわぁ、かわいいんだぁ。
つい、見とれてしまう。
まぁ、でも、愛里奈が言っていることは正しいのかもしれない。
愛里奈がこんなにも、かわいいんだから、みんな見とれているんだろう。
「ぁ、愛里奈。髪にパンの値段のシールがついてるよ。きっと、このせいで見られてたのかもね」
と言って、髪に手を近づけ、シールをとるふりをする。
もちろん、なにも付いていないが愛里奈は……
「えぇ!?ど、どうしよう?恥ずかしいよぉ~」
そう言って、抱きついてきた。
かわいい。
「大丈夫だょー。もうとったから。」
「うん。そうだよね。ありがとう。」
そう言ってるものの、愛里奈は
「大丈夫、もぅ付いてないから。大丈夫だ。うん。」
など、一人でブツブツ言っていた。
こんな、やりとりをしている私達の後ろで、通りすぎて行くひと達が……
「おぃ。あの二人めちゃ、かわいくね?」
「俺、ちっちゃい子タイプ~」
「俺は、ふわふわパーマのスラリとした美人さんの方で!」
「俺も、俺も~~!」
このような会話が、たくさんされていることは、未亜と愛里奈は全く気が付かなかった。